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高度石灰化を有する冠動脈慢性完全閉塞病変が経皮冠動脈インターベンション治療に与える 影響の検証

1.臨床研究について
医療法人徳洲会 中部徳洲会病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。その一つとして、九州大学病院循環器内科では、冠動脈慢性完全閉塞病変に対する冠動脈インターベンション治療を受けた患者さんを対象として、高度石灰化が冠動脈インターベンション治療に与える影響を検証する「臨床研究」を行っています。  
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2029年3月31日までです。
2.研究の目的や意義について 
冠動脈の慢性完全閉塞(Chronic total occlusion: CTO)病変は、経皮的冠動脈インターベンション治療において最も難易度の高い病変の一つです。特に冠動脈CT検査で血管内全体を占拠するような高度石灰化がある病変は、手技成功率を有意に低下させ、慢性期成績も不良と報告されています。しかし、高度石灰化を有するCTO病変であっても、特に問題なく手技が成功する症例もあり、その予測は困難と言われています。その原因の一つとして、高度石灰化の評価が不十分であることが知られていますが、これまで高度石灰化の詳細な分類と冠動脈インターベンション治療の成功率や手技内容との関連を調べた研究はありません。
そこで今回医療法人徳洲会 中部徳洲会病院では、CTOに対する冠動脈インターベンション治療を受けた患者さんを対象として、高度石灰化が冠動脈インターベンション治療に与える影響を調べる研究を計画しました。本研究を行うことで、CTO病変に対する冠動脈インターベンション治療の成功率の推定や治療戦略の構築に多大な影響を与えるものであり、特に術前の冠動脈CT所見で、その後の治療方針選択を適切にする情報を与えることとなり、安全・確実な医療の提供につながることが期待できます。
3.研究の対象者について 
 2022年4月1から2024年8月31日までに、本研究の参加研究施設において、虚血性心疾患の診断で、冠動脈慢性完全閉塞病変に対する冠動脈インターベンション治療を受けた患者のうち、冠動脈CTで高度石灰化病変を有する症例が対象です。参加全施設で約247名が対象です(目標症例数 九州大学病院:2名、飯塚病院:3名、岩手県立中央病院:5名、江戸川病院:5名、大分県立病院:2名、大久保病院:2名、岡山大学病院:5名、置賜総合病院:10名、金沢循環器病院:10名、草津ハートセンター:2名、京都岡本記念病院:5名、呉医療センター:3名、済生会福岡総合病院:20名、桜渡辺未来医療病院:3名、新宮市立医療センター:2名、新古賀病院:4名、心臓血管研究所:15名、信州大学:3名、新東京病院:10名、製鉄記念室蘭病院:3名、高岡みなみハートセンター:3名、中部徳洲会病院:5名、天陽会中央病院:10名、東京ベイ浦安市川医療センター:3名、東邦大学医療センター大森病院:5名、時計台記念病院:1名、苫小牧王子総合病院:1名、富山県立中央病院:3名、豊橋ハートセンター:5名、虎の門病院:5名、名古屋ハートセンター:10名、日本医科大学武蔵小杉病院:2名、野崎徳洲会病院:10名、博慈会記念総合病院:3名、函館市医師会病院:5名、東宝塚さとう病院:10名、広島ハートセンター:3名、福井県立病院:3名、福岡赤十字病院:3名、福岡市民病院:4名、福島県星総合病院:20名、北摂総合病院:2名、宮城県石巻赤十字病院:2名、宮城県仙台厚生病院:5名、宮崎県立延岡病院:5名、和白病院:5名)。
研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
4.研究の方法について 
この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。取得した情報を分析し、冠動脈CTを用いた石灰化病変から得られた石灰化情報とカテーテル治療の使用機器や手技成功との関連を明らかにします。
〔取得する情報〕
<基本情報>
  • 研究対象者識別コード、生年月または年齢、性別、身長、体重、診断名
  • 既往歴および透析歴(腎不全原因疾患、透析の有無、種類、透析期間)
  • 冠危険因子の有無とその内容:高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙習慣、冠動脈疾患の家族歴、末梢動脈疾患
  • 冠動脈に対する血行再建術の施行歴の有無とその内容(PCI既往、冠動脈バイパス治療既往)
  • 血液検査値:検査日、貧血・腎機能・肝機能・炎症所見など
  • 内服薬の内容:抗血栓薬(抗凝固薬と適応疾患名、抗血小板薬)、脂質異常症治療薬、糖尿病薬、降圧薬の有無
  • 冠動脈CT情報(PCI施行1年以内)
    施行日、撮影機器、管電圧、管電流、スライス厚、造影剤使用量、病変部位、治療対象となった病変の形態(狭窄度、病変長)
  • 心エコー情報(PCI施行1年以内)
    施行日、左室駆出率、弁膜症(中等度以上)
  • カテーテル治療情報
  • 施行日、穿刺部位、治療病変部位、分岐部病変の有無、治療成功の有無、石灰化結節の有無、ガイドカテーテルサイズ、スコアリングバルーンの使用、デバルキングデバイスの使用、Rota burr size、IVLバルーン径、ステント径、ステント長、ステント本数、薬剤コーティングバルーン径、薬剤コーティングバルーン長、後拡張の有無、血管内イメージング、機械的サポート使用の有無、体外式ペーシングの有無、拡張不良の有無、デバイス不通過の有無、ガイドエクステンション/子カテの使用、造影剤使用量、透視時間、透視線量、カテーテル治療の合併症の有無と内容
  • PCI施行1年後の主要心血管イベント
〔利用又は提供を開始する予定日〕
 研究許可日以降

共同研究機関の研究対象者の診療情報についても、各参加施設にて個人情報を加工し、郵送にて九州大学へ収集し、詳しい解析を行う予定です。情報は、追跡可能なサービス(セキュリティ便)を利用します。
他機関への試料・情報の送付を希望されない場合は、送付を停止いたしますので、ご連絡ください。
5.研究への参加を希望されない場合
この研究への参加を希望されない方は、下記の相談窓口にご連絡ください。
なお、研究への参加を撤回されても、あなたの診断や治療に不利益になることは全くありません。
その場合は、収集された情報などは廃棄され、取得した情報もそれ以降はこの研究目的で用いられることはありません。ただし、すでに研究結果が論文などで公表されていた場合には、完全に廃棄できないことがあります。
6.個人情報の取扱いについて 
研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、医療法人徳洲会 中部徳洲会病院内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、医療法人徳洲会 中部徳洲会病院・循環器内科/血液内科部長・轟 純平の責任の下、厳重な管理を行います。
ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
7.試料や情報の保管等について 
この研究において得られたあなたのカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、医療法人徳洲会 中部徳洲会病院・循環器内科/血液内科部長・轟 純平の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
8.この研究の費用について 
この研究に関する必要な費用は、部局等運営経費でまかなわれます。
9.利益相反について 
医療法人徳洲会 中部徳洲会病院では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
本研究に関する必要な経費は部局等運営経費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
10.研究に関する情報の公開について
この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
また、この研究では、学会等への発表や論文の投稿により、研究成果の公表を行う予定です。
11.特許権等について
この研究の結果として、特許権等が生じる可能性がありますが、その権利は九州大学及び共同研究機関等に属し、あなたには属しません。また、その特許権等を元にして経済的利益が生じる可能性がありますが、これについてもあなたに権利はありません。
12.研究を中止する場合について
研究責任者の判断により、研究を中止しなければならない何らかの事情が発生した場合には、この研究を中止する場合があります。なお、研究中止後もこの研究に関するお問い合わせ等には誠意をもって対応します。
13.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学病院 循環器内科、
九州大学大学院医学研究院 循環器内科学分野
研究責任者 九州大学病院 循環器内科 助教 仲野 泰啓
研究分担者 九州大学大学院医学研究院 循環器内科学分野 教授 阿部弘太郎郎
九州大学病院 循環器内科 講師 的場哲哉
九州大学病院 循環器内科 助教 香月俊輔
九州大学病院 循環器内科 医員 筒井好知
共同研究機関
機関名 / 研究責任者の職・氏名・(機関の長名) 役割
1. 飯塚病院: 診療部長 稲永 慶太(本村 健太) 情報の収集
2. 岩手県立中央病院: 医長 齊藤 大樹(宮田 剛) 情報の収集
3. 江戸川病院:医長 藤田 雅樹(加藤 正二郎) 情報の収集
4. 大分県立病院: 副部長 古閑 靖章(佐藤 昌司) 情報の収集
5. 大久保病院: 医長 森山 優一(苅田 達郎) 情報の収集
6. 岡山大学病院:助教 吉田 雅言(湯浅 慎介) 情報の収集
7. 置賜総合病院:内科部長 新関 武史(江口 英行) 情報の収集
8. 金沢循環器病院:井ノ口 安紀(名村 正伸) 情報の収集
9. 草津ハートセンター:副院長 辻 貴史(許 永勝) 情報の収集
10. 京都岡本記念病院:部長 小出 正洋(髙木 敏貴) 情報の収集
10. 京都岡本記念病院:部長 小出 正洋(髙木 敏貴) 情報の収集
11. 呉医療センター:住元 庸二(繁田 正信) 情報の収集
12. 済生会福岡総合病院:部長 野副 純世(松浦 弘) 情報の収集
13. 桜橋渡辺未来医療病院: 副院長 岡村 篤徳(渡辺 平太郎) 情報の収集
14. 新古賀病院:平井 敬佑(川﨑 友裕) 情報の収集
15. 新宮市立医療センター:部長 江守 裕紀(北野 陽二) 情報の収集
16. 心臓血管研究所:冠動脈疾患担当部長 松野 俊介(上嶋 徳久) 情報の収集
17. 信州大学:准教授 海老澤 聡一朗(桑原 宏一郎) 情報の収集
18. 新東京病院:部長 奥津 匡暁(中尾 達也) 情報の収集
19. 製鉄記念室蘭病院:主任医長 高田 明典(前田 征洋) 情報の収集
20. 高岡みなみハートセンター:医師 山本 隆介(平瀬 裕章) 情報の収集
21. 中部徳洲会病院:部長 轟 純平(大城 吉則) 情報の収集
22. 天陽会中央病院:部長 加治屋 崇(厚地 良彦) 情報の収集
23. 東京ベイ浦安市川医療センター:医長 村石 真起夫(神山 潤) 情報の収集
24. 東邦大学医療センター大森病院: 講師 矢部 敬之(酒井 謙) 情報の収集
25. 時計台記念病院:医員 岩田 周耕(藤井 美穂) 情報の収集
26. 苫小牧王子総合病院:主任科長 伊藤 孝仁(岩井 和浩) 情報の収集
27. 富山県立中央病院: 医長 松浦 伸太郎(臼田 和生) 情報の収集
28. 豊橋ハートセンター:医長 鈴鹿 裕城(鈴木 孝彦) 情報の収集
29. 虎の門病院:部長 児玉 隆秀(門脇 孝) 情報の収集
30. 名古屋ハートセンター:医局長兼カテ室チーフ 松田 洋彰(大川 育秀) 情報の収集
31. 日本医科大学武蔵小杉病院:病院講師 細川 雄亮(谷合 信彦) 情報の収集
32. 野崎徳洲会病院: 部長 田辺 正喜(田村 雅一) 情報の収集
33. 博慈会記念総合病院:部長 三軒 豪仁(岡田 憲明) 情報の収集
34. 函館市医師会病院:科長兼心血管カテーテル室長 中川 裕也(鈴木 康弘) 情報の収集
35. 東宝塚さとう病院:部長 長谷川 勝之(東野 順彦)
36. 広島ハートセンター:部長 落海 祐介(木村 祐之)
37. 福井県立病院: 医長 加藤 大雅(道傳 研司)
38. 福岡赤十字病院:部長 向井 靖(中房 祐司)
39. 福岡市民病院:診療統括部長 弘永 潔(堀内 孝彦)
40. 福島県星総合病院: 部長 越田 亮司(渡辺 直彦)
41. 北摂総合病院:部長 永松 航(小林 一朗) 情報の収集
42. 宮城県石巻赤十字病院:副部長 髙橋 徹也(山中 多聞)
43. 宮城県仙台厚生病院:医師 本田 晋太郎(山内 淳一郎)
44. 宮崎県立延岡病院: 部長 黒木 一公(山口 哲朗)
45. 和白病院:部長 芹川 威(富永 隆治)
14.相談窓口について 
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学病院循環器内科 助教 仲野 泰啓
連絡先:〔TEL〕092-642-5360(PHS 2199)
    〔FAX〕092-642-5374
メールアドレス:nakano.yasuhiro.030@m.kyushu-u.ac.jp

【留意事項】
本研究は九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会において審査・承認後、以下の研究機関の長、および上記「13. 研究の実施体制について」に記載の研究機関の長(試料・情報の管理について責任を有する者)の許可のもと、実施するものです。
九州大学病院長 中村 雅史

作成日:2024年9月3日 第1版  

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