メッセージ
沖縄県には薬学部がないため、沖縄県民が薬剤師になろうとすると、住み慣れた実家を離れ、県外に下宿する必要があります。また当たり前の事ですが、6年間学友と過ごした下宿先を離れ、卒業後に再び県内に戻ってこなければ、沖縄県の医療に直接従事することは出来ません。すなわち、十代後半~二十代前半の若者が、二度の出会いと別れを経験しないと薬剤師にはなれないのです。回りくどい言い方をしましたが、その分だけ沖縄県内に新卒薬剤師が定着しにくい状況が長く続いていることを痛切に感じますし、事実、統計上も沖縄県は人口十万人あたりの病院・薬局に勤務する薬剤師数が全国ワーストを記録しています。
その中で中部徳洲会病院の薬剤部は、全国展開する徳洲会グループの病院である特徴が活かされ、全国から、中部徳洲会病院を、そして何より沖縄を気に入ってくれた薬剤師達が多数集まっています。職場ではいろいろな方言が飛び交い、それぞれの地元で育んだ独特な文化にお互い驚いたりすることもしばしばあります。また、一人暮らしをするスタッフが多いため、仕事だけでなく、私生活においても、一緒に遊んだり旅行に行ったりして過ごす事が多く、これらのことが、お互いの価値観を理解するのにとても役に立っているようです。また、この中で生まれた連帯感が、一人では解決出来なかった問題を、いくつも解決してきたと感じます。さらに、沖縄を愛してやまない多くのスタッフが永住の道を歩み始めてくれているのもうれしい限りです。
また、沖縄出身の薬学生も、実務実習やインターンシップを通じて、近年とくに沖縄の医療が他の都道府県に劣らない発展を遂げていることや、全国的に見ても発達している沖縄県の救急医療や離島医療などの地域医療体制を経験できることなど、沖縄で働く魅力を 実感し就職を検討してくれるようになったと思います。
私たちは、こうして集まった薬剤師たちが連帯感と問題解決能力を生かし、沖縄県民の皆様の医療ニーズに応えるべく、新しい薬剤師業務を常に模索し、積極的に実現するための努力を続けたいと考えています。
薬剤部スタッフ休憩中の一コマ