臨床研究
中部徳洲会病院泌尿器科では、下記の臨床研究を実施しています。皆様には本研究の趣旨をご理解頂き、ご協力を承りますようお願い申し上げます。
九州沖縄地区における特発性後腹膜線維症の実態調査
- 1.研究の概要
- あなたのご病気は「後腹膜線維症」といいます。お体の中の後腹膜腔という領域(胃や腸などの消化器官が存在する領域を腹腔とよび、腹腔は腹膜に覆われています。その後ろの背中側の領域にあたり、腎臓、尿管、大動脈、下大静脈などが存在します。)に、原因不明の線維化(線維性の組織が増加した状態)が生じて、炎症を起こしたり、尿管(腎臓で作られた尿が膀胱へ流れていくために必要な管状の臓器)が線維化に巻き込まれて狭窄をおこしたりする病気です。非常に希と言われていますが、これまでに国内で大規模は調査が行われたことはなく、正確な発生頻度はわかっていません。診断方法、治療方法につきましは、これまでに発表された数少ない症例の報告や過去の経験をもとに、各施設で治療が行われていますが、全世界的にも基準となるガイドラインがなく、正確かつ適切な診断方法や治療法が定まっていない状況です。また、最近はイムノグロブリンG4(IgG4)関連疾患という自己免疫疾患と後腹膜線維症の関連が強く疑われていますが、詳細は解明されていません。
- 2.目的
- 以上から後腹膜線維症の実態調査を行い、実際の発生頻度や患者さまの背景(性別、年齢、IgG4関連疾患など他のご病気との関連など)、病態(ご症状など病気の実態)、検査法、治療法とその効果などを観察することで、後腹膜線維症の診断・治療に関連する新しい知識を得ることを目的とする学術研究活動として計画され、実施されます。また、単独の施設では過去10年にさかのぼっても収集可能な患者さまの数が少ないため、九州・沖縄の大学病院とその関連施設の協力していただくこととなりました。本研究により、九州・沖縄地区という比較的規模の大きな地域における後腹膜線維症の診断・治療の実態が明らかとなります。
- 3.研究実施予定期間
- この研究は、当院院長承認後から2020年3月まで行われます。
- 4.対象者
- 2008年1月1日から2018年5月18日(宮崎大学倫理委員会の承認日)までの間に、中部徳洲会病院に通院(または/および入院)されたことのある患者さまで、後腹膜線維症と診断された方を対象とします(年齢は20歳以上)。ただし、その他の合併症や治療経過により、担当医師が不適切と判断した患者さまは除きます。この研究では、全施設で150名、当院では3名の患者さまの参加を予定しております。
- 5.方法
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(1)この研究で行うこと
本研究では、患者さまの診療録から以下の診療情報を調査します。(2)検査および観察項目
患者さまの診療録から、治療開始前、治療後の定期検査時における下記の情報を調査します。あくまでも定期受診時の検査や観察所見であり、研究のために予定される検査や診察はありません。
① 患者さまの背景 :年齢、性別、病歴に関する情報、症状の経過など、組織診断の結果、既往歴、並存症、内服中の薬剤の情報など)
② 治療方法
③ 患者さまの経過 (治療後の経過については2008年1月1日から2018年5月18日までの情報を調査します)
④ 一般診療における血液学的検査の結果:必須項目として、WBC、Hb、PLT、Cre、eGFR、ESR、CRP。測定されていた場合に記載する項目としてTSH、RF、抗CCP抗体、抗核抗体、c-ANCA、p-ANCA、PR3-ANCA、IgM、IgG、IgG4、抗ENA抗体(RNP、Sm)、抗DNA抗体、抗TPO抗体(甲状腺ペルオキシダーゼ)
⑤ 一般診療における尿検査の結果 (一般尿検査結果、尿細胞診)
⑥ 一般診療における画像検査の方法(腹部エコー、CT、MRI、PET-CT、逆行性尿管造影)と所見(病変の高さ、領域、側性、水腎の有無、動脈瘤の有無、造影効果)
なお、当院の個人情報管理責任者は、中部徳洲会病院・臨床試験部 大城康香です。
- 6.費用負担
- この研究を行うにあたり、対象となる方が新たに費用を負担することは一切ありません。
- 7.利益および不利益
- この研究にご参加いただいた場合の利益・不利益はありません。参加を拒否された場合でも同様です。
- 8.個人情報の保護
- 研究にあたっては、対象となる方の個人情報を容易に同定できないように、数字や記号などに置き換え、「匿名化された情報(どの研究対象者の情報であるかが直ちに判別できないよう、加工又は管理されたものに限る)」として使用いたします。
- 9.研究に関する情報開示について
- ご希望があれば、研究計画および研究方法についての資料を閲覧することができます。ご希望がある場合は、下記連絡先へ遠慮無く申し出てください。ただし、研究の独創性確保に支障のない範囲内で情報開示を行います。
- 10.研究資金および利益相反について
- 本研究は、宮崎大学泌尿器科の法人運営費で実施します。このため本研究では利益相反はありません。また、利益相反状態については、共同倫理審査委員会へ申告して管理されています。
- 11.研究成果の公表
- この研究で得られた研究成果を学会や医学雑誌等において発表します。この場合でも個人を特定できる情報は一切利用しません。
- 12.参加拒否したい場合の連絡先
- この研究に参加したくない(自分のデータを使ってほしくない)方は下記連絡先へ遠慮無く申し出てください。その場合でも患者さまに不利益が生じることはありません。しかしながら、データ解析後、もしくは学会等で発表後は途中辞退することができない場合もあります。
- 13.疑問、質問あるいは苦情があった場合の連絡先
- この研究に関して疑問、質問あるいは苦情があった場合は下記連絡先へ連絡をお願い致します。
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【当院の研究責任者】
大城 吉則 中部徳洲会病院 泌尿器科・副院長
【連絡先】
沖縄県中頭郡北中城村アワセ土地区画整理事業地内2街区1番
098-932-1110(代表)
- 14.研究組織について
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【代表者】宮崎大学 医学部 発達泌尿生殖医学講座泌尿器科学分野・教授 賀本 敏行
【参加施設】
<共同研究機関>(五十音順) 本研究では、各施設からはカルテ情報の提供を行います。
大分大学医学部腎泌尿器外科学講座・教授 三股浩光
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍学講座泌尿器科学分野・教授 中川昌之
九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野・教授 江藤正俊
熊本大学大学院生命科学研究部泌尿器科学分野・教授 神波大己
久留米大学医学部泌尿器科・教授 井川掌
佐賀大学医学部泌尿器科・教授 野口満
産業医科大学医学部泌尿器科学講座・教授 藤本直浩
長崎大学医歯薬学総合研究科泌尿器科学・教授 酒井英樹
福岡大学医学部泌尿器科学教室・教授 田中正利
福岡大学筑紫病院泌尿器科・准教授 石井龍
琉球大学大学院医学研究科医科学専攻腎泌尿器外科学講座・教授 齋藤誠一
- この研究は、宮崎大学と下記の研究機関との間で、法令等に準拠して作成した共通の研究計画書に基づいてグループを形成し、共同研究として実施されます。したがって、本研究に参加する研究機関は、共通の研究目的と実施計画の下に一体的に学術研究活動を行っております。
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<研究協力機関>各施設からはカルテ情報の提供を行います。
施設名 施設責任者の氏名 担当者の氏名 大分大学関連 1 大分医療センター 奈須伸吉 奈須伸吉 2 大分赤十字病院 今川全晴 佐藤竜太 3 中村病院 酒本貞昭 松原孝典 4 厚生連鶴見病院 住野泰弘 住野泰弘 5 別府医療センター 田崎義久 田崎義久 6 南海病院 澁谷忠正 澁谷忠正 鹿児島大学関連 7 鹿児島市立病院 五反田丈徳 松田良一郎 8 今給黎総合病院 中目康彦 立和田得志 9 鹿児島医療センター 千代丸剛 千代丸剛 10 済生会川内病院 伏谷俊作 伏谷俊作 11 県立大島病院 川平秀一郎 川平秀一郎 九州大学関連 12 九州医療センター 坂本直孝 坂本直孝 13 九州中央病院 関成人 関成人 14 九州がんセンター 中村元信 中村元信 15 JCHO九州病院 原野正彦 原野正彦 16 県立宮崎病院 黒岩顕太郎 黒岩顕太郎 17 佐賀県医療センター好生館 徳田倫章 徳田倫章 18 大分県立病院 友田稔久 友田稔久 19 北九州医療センター 長谷川周二 長谷川周二 20 原三信病院 山口秋人 横溝晃 21 製鉄記念八幡病院 奥村幸司 奥村幸司 久留米大学関連 22 済生会二日市病院 川越伸俊 川越伸俊 23 高木病院 江島和久 三谷智太郎 24 筑後市立病院 渡辺晃太 渡辺晃太 25 聖マリア病院 江口善朗 広重 佑 26 JCHO久留米総合病院 井手篤史 井手篤史 27 公立八女総合病院 熊谷壽二 熊谷壽二 28 朝倉医師会病院 豊澤徳行 豊澤徳行 産業医科大学関連 29 九州労災病院門司メディカルセンター 赤坂聡一郎 赤坂聡一郎 30 宗像水光会総合病院 稲富久人 稲富久人 31 新行橋病院 原田修治 原田修治 32 新小倉病院 濱砂良一 濱砂良一 長崎大学関連 33 長崎みなとメディカルセンター 渡辺淳一 渡辺淳一 34 日本赤十字社長崎原爆病院 鶴崎俊文 鶴崎俊文 35 JCHO諫早総合病院 西村直樹 西村直樹 36 国立病院機構長崎医療センター 錦戸雅春 錦戸雅春 37 佐世保市総合医療センター 古川正隆 古川正隆 38 佐世保共済病院 江口二朗 江口二朗 39 国立病院機構嬉野医療センター 谷口啓輔 谷口啓輔 福岡大学関連 40 飯塚病院 中島雄一 中島雄一 41 田川市立病院 石田浩三 石田浩三 42 白十字病院 阿部裕典 阿部裕典 43 福岡徳洲会病院 鍋島義之 鍋島義之 琉球大学関連 44 中部徳洲会病院 安富祖久明 大城吉則 宮崎大学関連 45 県立延岡病院 山下康洋 山下康洋 46 野崎東病院 小林隆彦 小林隆彦 47 藤元総合病院 長野正史 長野正史 48 県立日南病院 鬼塚千衣 鬼塚千衣 2018年9月1日作成