泌尿器科インタビュー
当院の大城院長と呉屋副院長がOTV様より「ダヴィンチ」についての取材を受けました。取材のメインは婦人科関連でしたので
ここでは呉屋副院長に泌尿器科とダヴィンチに関連したことを教えていただき掲載します。
手術支援ロボット開発の歴史と日本の現状について
手術支援ロボットの開発は、1980年代末にアメリカで始まりました。負傷した兵士を遠隔操作で治療することを目的とし、陸軍がその開発研究を開始しましたが、湾岸戦争終結後には民間企業に引き継がれています。その後完成した手術支援ロボットは、「ダビンチサージカルシステム」と名付けられ、アメリカでは2000年より臨床の場で用いられるようになりました。日本では、2009年に薬事承認され、翌年より販売が開始されました。2012年に、前立腺がんでロボット支援手術の保険承認がされると、手術数は急速に増加することになりました。その後保険適応も拡大され、2016年に腎がん、2018年に膀胱がん、2020年に尿管狭窄症と骨盤臓器脱、そして2022年には副腎腫瘍、腎がんや腎盂がんの全摘除術にもロボット支援手術が可能な状態です。400台を超える手術支援ロボットが日本では運用されており、アメリカに次ぐ世界第二位のロボット保有国になっています。また、当初泌尿器科領域のみの保険承認でしたが、現在では、消化器外科、胸部外科、心臓血管外科、婦人科、耳鼻咽喉科領域でもロボット支援手術が保険承認されています。そして、最近では2020年秋に、初の国産手術支援ロボット「hinotori」販売されたことより、ロボット支援手術の認知度はさらに上がっています。
中部徳洲会病院泌尿器科におけるロボット支援手術の運用実績について
当院では、2012年の「ロボット支援下前立腺全摘除術」の開始を皮切りに、現在のところ、「ロボット支援腎部分切除術」、「ロボット支援膀胱全摘除術」、そして「ロボット支援腎盂形成術」を行っています。これまでのロボット支援手術総数は、650例を超えており、症例数は年々増加の傾向にあります。
泌尿器科領域におけるロボット手術のメリットは
米国のおいては、ロボット支援手術は標準的術式であり、前立腺がん手術の90%以上がロボットで実施されています。日本でも、ロボット支援手術数は年々増加しています。ロボット支援手術の大きな特徴は、低侵襲性です。従来の腹腔鏡手術にも言えることですが、出血量や術後疼痛を軽減でき、入院期間や社会復帰までの期間が短縮されます。従来の腹腔鏡手術との違いは、緻密な操作性が挙げられます。血管や組織の縫合や細かい剥離操作を得意としており、尿禁制、男性機能の温存に優れると報告されています。腎部分切除術では、従来の腹腔鏡手術では困難な、難度の高い症例への対応も可能です。
ロボット手術のデメリット
当初、ロボット支援手術のデメリットとして、触覚の欠如が指摘されていました。しかし、実際の手術では、視覚によって十分カバーされるため、そのことが問題となることはほとんどありません。骨盤内のリンパ節組織を摘出する際も、大小の血管周囲からロボット鉗子を用いて剥がしとっており、安全に実施できています。