診療科案内

診療科案内

疼痛治療科

がん疼痛とは

疼痛治療科 統括部長
服部 政治

がんの痛みには、がんそのものによる痛み、転移したところの痛み、治療に伴う痛みなどがあります。おなかが痛い・下腹部が痛いなどの「内臓痛」、手足が痛い・腰が痛い・肩が痛い・動くと痛い・体重をかけると痛い・呼吸をすると痛いなどの「体性痛」、びりびりとする・じんじんする・やけどしたような・電気が走るような痛みなどの「神経障害性疼痛」があります。また、不安や抑うつ気分に伴って起こる「心因性の痛み」もあります。

いずれの痛みも放置してがまんしていると、日常生活に支障を来すばかりでなく、体力を消耗してがんの治療そのものができなくなるかもしれません。通常の飲み薬や貼り薬の鎮痛薬で痛みを制御できればいいのですが、時にそれでは制御できない痛みもあります。そういった時は、我々のように痛みの専門家が鎮痛薬の調整や神経ブロック、脊髄鎮痛法などを駆使して痛みの「治療」を施さないと制御できなくなります。

もし皆様が、「モルヒネなどに代表される医療用麻薬やオピオイド鎮痛薬と呼ばれている麻薬を使えばあらゆる痛みが軽減できるはず」、と思っているとすればそれは間違いです。残念ながら麻薬性の鎮痛薬でも取れない痛みは数多くあります。その時は薬の量や種類を増やして痛みは軽くならない上に、副作用の眠気で日常生活にも支障を来たしてしまいます。そうならないためにも、早めにがんの痛み治療の専門家に診てもらうことが重要です。

疼痛治療科の特徴

疼痛治療科は、「痛みが薬だけでは軽減しない」、「薬がただ増えるだけで眠くて仕方がない」、「おなかが張って苦しいけど、鎮痛薬では楽にならない」など、痛みや苦痛をなんとかしてほしいという希望に応えるために2019年4月に設立された新しい専門科です。我々は、主にがんの痛みを軽減するために、内服、貼付、注射薬、神経ブロック、脊髄鎮痛法など、患者様ひとりひとりに合わせた、あらゆる痛みの治療法を考えて実施していきます。皆様が主治医から処方されている鎮痛薬では痛みが思うように軽減できていない時や、鎮痛薬の副作用で眠気が強く日常生活に支障を来している時などには、主治医と協同してペインクリニックの技術を駆使して痛みの治療に取り組みます。我々が実践している治療内容を以下に簡単にまとめましたのでご覧ください。

1) 一般的な鎮痛薬の調節

痛みが軽度であれば、打撲傷や歯を抜いた後などに処方される非ステロイド性鎮痛薬やアセトアミノフェンといった内服薬が出されます。これらの薬剤でうまく鎮痛ができないときに、問題点を見つけて内服時間や回数の変更などのアドバイスを患者様に直接または主治医に助言します。

2) オピオイド鎮痛薬の調節

「オピオイド鎮痛薬」は麻薬性鎮痛薬の専門的な言い方です。「麻薬」と聞くと誰もが恐怖心を抱くことでしょう。そこには皆様の大きな誤解があるからです。オピオイドは、上記の「1) 一般的な鎮痛薬の調節」では痛みが軽くならない時に使用する「痛みの程度に応じて調節できる」鎮痛薬です。よく「強い鎮痛薬」と表現されますが、そうではなく「強い痛みにも対処できる鎮痛薬」なのです。「強い鎮痛薬」=「強い副作用」というイメージを持たれがちですがそれも誤りです。副作用に、眠気、便秘、一時的な吐き気などはありますが、胃・腎臓・肝臓など臓器を悪くするような副作用はありません。また、一度使用したら二度と止めることができないと思われがちですが、これも間違いです。急に止めると退薬症状(冷や汗、不安など)が出ますが、少しずつ減量すれば中止することも可能です。また、痛みに対して使用している限りは、中毒や依存症になることはありません。 疼痛治療科では、一般的な薬剤に加えて、オピオイド鎮痛薬を使用して痛みを軽減させます。患者様の生活スタイルや病状に合った薬剤の選択、投与量の調節、副作用の吐き気や便秘に対する治療薬の処方なども行います。 また、「どうしても麻薬性の鎮痛薬を使いたくない」、「これ以上麻薬の量を増やしたくない」、という方には、後述の神経ブロックや脊髄鎮痛法などで痛みを軽減してオピオイド鎮痛薬の量を減らすことも検討できます。

3) 注射薬での調節

入院中に実施することが多く、主にオピオイド鎮痛薬の注射薬を使用します。検査前・手術前後・消化管の問題などで薬を飲むことができないときや、緊急で鎮痛が必要な時に使用します。ここでも患者様ひとりひとりに合わせた薬剤、量を計算しながら調整していきます。

4) 神経ブロック療法(神経破壊法)

鎮痛薬の内服や貼付だけでは十分痛みを軽減することができないときは、痛みを感じている神経をブロックします。神経ブロック療法(神経破壊)といいます。「神経破壊」というと恐そうですが、痛みを感じている神経を長期間マヒさせる方法と思っていただければ良いです。実施すると多くの方で飲んでいる鎮痛薬の量を大幅に下げることができます。神経ブロックには、内臓の痛みに行う腹腔神経叢ブロック、上腸間膜動脈神経叢ブロック、下腸間膜動脈神経叢ブロック、上下腹神経叢ブロック、肛門部の痛みに行うフェノールサドルブロック、肋骨部の痛みに行う肋間神経ブロックや胸部脊髄くも膜下フェノールブロックなどがあります。神経ブロックをして内服の鎮痛薬が減れば、副作用も少なくなります。適応については患者様各々で異なりますので、主治医と相談しながら決めていきます。

5) 脊髄鎮痛法

脊髄の近くにカテーテルを入れ、直接鎮痛薬を投与する方法です。内服に必要な量の何十分の一の量で、よりよい鎮痛効果を発揮します。硬膜外鎮痛法と脊髄くも膜下鎮痛法とがあります。内服や貼付薬で痛みが取れないときや神経ブロックの適応にならないときに選択します。当科では、このカテーテルが抜けたり、感染したりしないように、体内に埋め込む手術も行っています。カテーテルから薬液を注入するためのポンプを携帯して生活しなくてはならない欠点はありますが、多くの患者様の痛みや腹部膨満感の軽減に寄与している鎮痛方法です。

intervention

6) 専門的がん疼痛治療の実践と教育

上記のように、麻酔科で培った技術、ペインクリニックで積み上げた経験を礎にがんの痛みに専門的に対処するのが疼痛治療科の使命です。その方法をこれから将来の医療を担う若手医師にも継承していきます。がんの痛みで辛くなった時でも疼痛治療科として中部徳洲会病院の患者様、そして日本全国の徳洲会グループで治療を受けている皆様に、専門的疼痛治療を提供できるようにしていきます。

医師紹介

服部 政治 統括部長

がんの痛みは鎮痛薬だけでは取れないことがあります。
我々はペインクリニックの技術を駆使して痛みの治療に取り組みます。痛みはがまんせず治療する方法:神経ブロック療法や脊髄鎮痛法があります。がんの治療と並行して痛みを治療していきましょう。

前 知子 部長
立花 潤子 副部長

がんの痛みの治療は、麻薬の内服や点滴が一般的ですが、神経ブロックなどのペインクリニック治療が有効な痛みもあります。痛みが続くと日常の何気ない動作でさえ大変つらくなってしまいます。痛みがとりにくい場合、麻薬の副作用が強い場合にはペインクリニック治療の適応があるかもしれません。まずは主治医までご相談ください。

ページの先頭へ